「ダイバーシティは、当たり前」と言い切れる、常に時代の先を行く企業!【株式会社グロービス】
真の意味でのグローバル化を体現する企業!
#グローバル #外国人エンジニア採用 #ダイバーシティ
「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」というビジョンの実現に向けて、さまざまな挑戦を行なっている株式会社グロービス。外国籍メンバーの採用にも積極的に取り組み、ダイバーシティに関する研修なども以前から行なっているという、まさに「時代を先取りしている企業」なんです!
今回は、GLOBIS Digital Platformのピープル・サクセス・
チームのリーダーである本田 様、グローバル人材の採用やグローバル視点での文化醸成・育成業務にも携わるブライアン 様、そしてバイリンガル・グローバル人材の採用業務などもご担当の佐々木 様にお話を伺いました。
(聞き手:アクティブ・コネクターCHRO 長澤 / アカウントマネージャー 梅原)
目次
1:コロナ禍でも「学びを止めるな」。
梅原(アクティブ・コネクター):はじめに、御社の事業内容をご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
本田さん(株式会社グロービス):グロービスは1992年設立、来年で30周年になります。代表の堀がハーバードビジネススクールで事業を練る中「日本にリーダー育成の学校を作りたい」との思いで起業しました。現在のMBAの母体となるビジネススクール事業から始まり、翌年、研修事業をスタートしました。
現在、ビジネススクールは学校法人「グロービス経営大学院(MBA)」として、国内ナンバーワンです。英語で開講しているMBAもありますが、これからさらに海外、特に米国でのプレゼンスを高めようしているというところです。研修事業もトッププレイヤーとして多くの支持をいただいています。
一方、Ed‐Tech化も進めており、8年ほど前から「テクノベート(テクノロジー × イノベート)」を標榜し、コンテンツの入れ替えや教え方、学び方の変革を進めてきました。「テクノベート」は、テクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語で、主にITに代表されるテクノロジーによって進化、あるいは変化していく新しい経営の在り方を指す言葉です。実は2000年からE‐Learning事業はありましたが、よりインタラクティブな学びの形を模索しており、5~6年前にはすでに、リアルタイムで参加するディスカッション形式のオンライン授業の仕組みは実現していたんです。
新たな一歩を踏み出し、これからの学び方が見えてきた中の2016年に、グロービス・デジタル・プラットフォーム部門を立ち上げました。社会人の学び方改革として「GLOBIS学び放題」などのアプリ開発、研修事業のDX化として「GLOPLA LMS」というラーニングプラットフォームの自社開発を手掛けています。
長澤(アクティブ・コネクター):かなり前からオンライン化に取り組まれていたからこそ、このコロナ禍でもあまり焦りはなかったように見受けられますが。
本田さん:その意味では準備はしっかりとできていましたね。最初の緊急事態宣言下でも「学びを止めない」が全社のキーワードでした。他大学が対応に苦慮する中、MBAはたった3日で全て混乱なくオンラインに移行できたことは迅速なオペレーションだったと自負しています。水面下では大変な苦労があったでしょうが、社員を誇りに思いました。
2: グローバルな環境での外国籍メンバーの受け入れ体制とは?
梅原:初めて外国籍の社員を採用されたのは2009年とのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
佐々木さん(株式会社グロービス):英語MBA立ち上げのため、国内のグローバル事業にフォーカスし始めたのが2009年になります。ブライアンが入社したのもその時ですね。
ブライアンさん(株式会社グロービス):そうですね。私は2009年に派遣社員として入社、その後正社員になりました。なので、今も在籍している英語圏出身者としては、社内で一番古い外国人です(笑)。2020年からは「学び放題」の英語化に取り組んでいます。外国籍人材も少しずつ増え、今では50人弱在籍していますよ。
佐々木さん:今年は、年内に更に10人程度採用する予定ですので、より外国籍人材は増えていくと思います!
梅原:外国籍人材に関しては、コンスタントに採用されているようですが、その中で苦労したこと、大変だったことは何かありましたか?
佐々木さん:当時の担当者から聞いた話ですが、はじめは派遣社員の採用だったので採用フローとしては比較的スムーズだったようです。なおかつ、日本での生活も長く、一定の日本語力があり、日本文化への理解もあるメンバーが入ったので、受け入れ側として大きな問題は無かったようです。
ブライアンさん:外国人の立場から言うと、周りが英語MBAのスタッフだったので、言語的・思想的にもグローバルな方が多く、グロービスに入社して良かったと思っています!
本田さん:会社としても国籍、性別を問わず考え方はフラットですね。当然、トップの堀もグローバルな視点を持っているので、最初からダイバーシティは大事にしていました。
梅原:なるほど!では、外国籍のメンバーが入ったことで新しくできた制度や採り入れたことは何かありましたか?
佐々木さん:ここ2-3年は、日本語や日本文化をまだあまり理解していない外国籍の方を積極的に採用しています。これに伴い、オンボーディングから入社後の研修も英語で対応するなど、今年度から採用に関わるサポート体制を全て英語にシフトしています。
また、制度面では将来のキャリアに不安がないように、正社員登用の日本語要件をJLPT(日本語能力試験)N2だったものをN3に下げたり、コロナ禍のため海外リモートワークを最大2カ月間認める制度を設けるなど外国籍のメンバーが働きやすい環境を整備しているところです。
当然、今後取り組むべきグローバル化の課題も見えてきて、制度のあり方などの見直しを進めています。
本田さん:2009年当時から、グローバルな社内制度だったので、大きく変えたところはないですね。ただJLPTだけは、社員の大半が日本人だったことと、日本的な良さを残すため、「日本語は大事にしましょう」ということで基準を設けています。私の部門には正社員100人中10人ほど外国籍の方がいます。
特別な制度は無いのですが、自発的にイングリッシュランチを企画して言語交流したり、Slack上に難しい日本語の意味を教え合うチャンネルができたりしています(笑)。
ブライアンさん:この10年で、外国人が少しずつ増え、すぐに変えるというよりは、それまでの制度を少しずつ英語に適用してきました。例えば、日本人向けの英語学習支援制度を、逆に外国人が日本語を学習する際にも適用したりといった感じです。
梅原:外国籍の方もカバーできるようにその都度プラスしてきているのですね。外国籍のメンバー側からもいろいろと提案しているという点は、面白いですね!
3: 国籍やジェンダーは気にしない。だって当たり前だから!
長澤:御社でダイバーシティとして力を入れている点はありますか?
佐々木さん:そうですね、ダイバーシティという観点では、障害者の採用も行なっています。ジェンダーについては社員の6割近くが女性ということもあり、ダイバーシティという意識はないですね(笑)。LGBTQ、ワーキングマザー、ワーキングファーザー、いろんな人がいて当たり前な組織だと思っています。
ブライアンさん:ダイバーシティ&インクルージョンという点では、4、5年前にはLGBTQの研修を行っていました。
本田さん:グロービスが大切にしている価値観や存在意義を定めた「グロービス・ウェイ」というものがあるのですが、その中に「ダイバーシティ・ウェイ」も定めています。そこでは国籍やジェンダーではなく「異能」「異質」という言葉を使っています。個人の才能を受け入れる「個の爆発」というHRポリシーがあるのですが、異質の人同士がぶつかることで新しいイノベーションが生まれるのだ、という考え方が昔からありました。
長澤:まさしく私たちがHRコンサルティングでお伝えしている理想像ですね!それを長年実現し制度化されているのは、本当に素晴らしいと思います。
4: 環境に合わせてベストプラクティスを探す。
長澤:御社内の言語ポリシーをお伺いできますか?また今後、海外進出する場合には変更される予定などはあるのでしょうか?
佐々木さん:原則、社内の公用語は日本語で、変更する予定はありません。ただ、部門によっては業務の特性や、メンバーの構成により英語主体のところもあります。
また、昨年くらいから、経営に関するものなど重要な書類や情報は全て英訳をしています。社内がメール文化なので、読むのに時間がかかったり見逃して情報格差が起きないように、最低限必要な情報は英語にしていきましょうという動きになっていますよ。
本田さん:そうですね、日本人社員の英語研修を必須にするという考えは今のところありませんが、ケースバイケースで使い分けや工夫をしています。
長澤:なるほど。日本語と英語、表現の仕方にも違いがある中で、コミュニケーションする際のルールは何かありますか?
佐々木さん:特に決まったルールは無いですね。制度化は必要だと思うのですが、例えば能力に応じて社員が通訳に入ったり、日本人社員が分かりやすい日本語で話したり、部門や個人の判断で柔軟に対処していますね。
長澤:では、マネージャーとの1on1の時も通訳が入ったりするのですか?また、1on1は全社員が行なっているのでしょうか?
佐々木さん:通訳は必要に応じてですね。1on1では気兼ねなく相談できるのが良い点なので、要求があれば入ります。
本田さん:1on1は、ほとんど全社員が行なっていると思います。私たちの部門では、1on1の場 は「メンバーを支援する場」と位置づけているので、仕事以外にもプライベートなどの相談があれば聞いていますよ。特に外国人だから行なっている、ということでは無いですね。
長澤:日本の企業の方と話していると「外国籍の人はすぐに辞めてしまいそう」といったイメージを持っている方々もいるのですが、御社の定着率を見るとそんなことはないようですね。
佐々木さん:部門によって多少の差はありますが、過去5年のデータを見ると定着率は高いです。特別な対策をしているわけではないのですが。
ブライアンはどうして長く働いているの(笑)?
ブライアンさん:会社自体が常に成長していて、同じことをしていない、新しいチャレンジが常にあるからだと思う。10年前のグロービスと今のグロービスは違う会社みたいです!グロービスで働いていて「つまらない」と思ったことは無いですね。
松永(アクティブ・コネクター):確かに、会社内で自分のやりたいことが実現するなら辞める必要はないですよね!
5: 企業の成長を求めるなら、「ダイバーシティを楽しむ」こと!
長澤:外国籍人材の採用を検討している企業様へのアドバイスなどお伺いできますか?
ブライアンさん:そもそもダイバーシティがないと成長できないですよ!国内市場は縮小していますし、国内の外国人も増えています。何事も異なる視点から議論することがダイバーシティが充実する理由だと思います。
本田さん:明確な正解がないビジネスの世界に入っていった際に、多様な考え方で戦略を作り実行しなければ勝てないと思いますね!それに、いろんな人がいた方が楽しいですよ(笑)。
ブライアンさん:私はグロービスで英語のクリティカル・シンキングやファシリテーション&ネゴシエーションの英語の講師もしているのですが、日本人は完璧な英語を話さないと恥ずかしいと思っている人が多いと感じますね。なので、まずはその意識をなくすように伝えています。みんな違う特性を持っている、みんな完璧ではないということを認識して、グローバルを意識すればもっとリラックスできるんじゃないかな?
本田さん:外国籍人材の採用に悩んでいる企業さんへのアドバイスとしては、「まずは採用してみる」のも大事かと思います。私たちも5年前に初めてエンジニアを採用したのですが、エンジニアにとって当たり前の環境が何ひとつ整っていないことを率直に教えられました。「ならば意見を聞かせて」といった感じで、対話しながら制度を変えてきただけなんです。
ブライアンさん:アドバイスとして、日本語ができる外国人も増えていますが、「日本語で会話ができたとしても100%日本人ではない」と認識して欲しいですね。つまり、受けてきた教育や習慣、バックボーンが全然違う。私の経験上、日本に来て驚いたこともたくさんあります。
本田さん:そうですね。彼らと接すると、日本人が「当たり前」と思っている慣習や制度など、前提を改めて考えさせてくれるきっかけになりますね。
梅原:本当にその通りだと思いますね!本日は貴重なお話、ありがとうございました!
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~ インタビューを終えて ~私たちが、「ダイバーシティ」や「グローバル」といった話題を出す必要もないほど、「多様性あふれるチームが当たり前」というマインドを持っている皆さんでした。ここまで浸透している企業は、日本にはまだまだ少ないのが現状です。こういったカルチャーを持つ企業だからこそ、これから世界に出てグローバル市場で挑戦することが出来るのだなーとしみじみ感じました。ぜひ、日本の多くの企業も続いて欲しいですね!
(アクティブ・コネクター CSチーム 松永)